取材レポート as is  ⇒ to be

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『革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発』プロジェクト進捗報告会

(22年3月1日開催)の3行サマリ:

 

マテリアル・リサイクル (MR): 44%、ケミカル・リサイクル (CR): 34%、エネルギー回収: サーマル・リサイクル(TR): 22%、単純焼却・埋立 : 0% を目指し 1) 分散して発生するプラゴミの効率的回収・分別と、処理後の2次資源としての安定供給のため  2)MRの AIとロボットを使った回収・分別技術、CRの石油化学工場活用触媒技術、TRの高効率熱回収・利用技術、等の開発状況を報告。動脈産業の協力要にも言及。

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・海洋プラスチックごみ問題について:企業のエコ活動

 取材先:CLOMA(海洋プラスチックごみ削減企業コミュニティ)

 各々がCSR活動を実施していたが、SDGsを共通のテーマとして経営に取り入れ、ESG経営を行う企業が増え、企業群が「経済活動に

 もながるエコ活動」などをテーマとしたコミュニティを作り始めた。実際、素材開発から製品づくり、流通・販売、回収も含めた3R

 の主役企業。企業がイニシアチブをとり、官と学と各団体と生活者を巻き込んで行ければ、効果の高いエコ活動が可能であろう。

回答要約:

・400社ほどのサプライチェーンの川上から川下に渡る企業、研究者、コンサルタント、自治体、非営利組織など多岐にわたる組織が参

 加してサプライチェーンというよりサーキュラー(循環型)エコノミーの閉ループをつくり海洋ごみを減らすという視点で活動する

 プラットホームだと各参加者は認識している。

・ビジネスプラットホームとして機能する場合の今までにない特徴は業界団体毎の縦割りのヒエラルキー型でなく業界横断したつながり

 で協力し機能できる事。例えば2社間の最適だけを考えた取引でなく環境問題に対する全体最適の視点で協力し、部分的にはマイナスの

 取引が発生してもそれを全体で補填するシステムとして活動を目指している。もちろん、金銭補填ではなく、ビジネスチャンスを得る

 という意味で。新市場、新ビジネスが生まれればなお良いと考えている。

・各社が考え提案しプロジェクト化する仕組みでいわば”自走型”組織の集団であり、サーキュラーエコノミーの考えに沿って、ごみ処理

 業はリサイクラーというイメージでとらえて機能させようとしている。

・政府との連携で、CLOMAの活動が海洋ごみ削減や温室効果ガス削減・省エネルギーなどにどれだけ効果があったか見える化する事、

 どの活動がどれだけ効果的か指標化する事などを、将来的な目標の一つとして考えている。

・生活者の巻き込み、生活者との共生については食品、飲料、トイレタリーの各メーカー、小売業などお客様に近い会員会社は、もちろ

 ん既にいろいろやっているというよりそれが本業なので、それをベースにCLOMAの効果をオンして行くというイメージ。例えば、シャ

 ンプーの詰め替え、飲料PETのリサイクルなどは、CLOMAの交流の中でさらにアドバンストな活動とするため動き始めている。新しい

 ライフスイルを提案するようなプロジェクトも生まれてくる可能性もある。

・川上(製造)から川下(マリンフードの安全)までについては、従来のサプライチェーンの直線的な発想ではなく、業界業種マトリッ

 クスで総合的に対応する。全体最適な技術やシステムを作り出すだけでなく、多様な知恵や知見を組み合わせ既存の活動をレベルアッ

 プする効果が大きい。

・生活者に対する行動提案は、既に高いレベルで活動している会社も多い。商品やサービスによるライフスタイルの提案、それを受ける

 社会システム作りへの参画、それらを知らしめるための広報など色々な要素があるが、ここでもCLOMAの特長である業界業種のマトリ

 クスでの知識、知恵の連動は使えると考えている。

インタビューした感想:

 サーキュラーエコノミーを実現し海洋ごみ削減を実現するというコンセプトは素晴らしい。このプラットホームが生活者を巻き込んで、

 つる、使う、再利用する、、、というサーキュラー活動の基盤となっていくかについて今のところ不明な点はあるが期待して見守っ

 て行きたい。視点を変えれば、CLOMAは裏方、前面に出るのは各企業、サーキュラー活動は各企業が市民と連携し、CLOMAは後ろか

 らの支援に徹するという考えもある。

 

 

・企業と生活者との連携について:商工会議所のエコ活動

 取材先:東京商工会議所エコピープル支援事務局

  商工会議所は非営利・企業や地域の振興を目的とする組織。eco検定は2006~実施されている環境の基礎知識を問う試験、企業のCSR

にも利用されている。合格者はエコピープルとなり1)企業や地域でのエコ活動(サイト掲載あり)、2)優れた活動については

アワーでの表彰、3)サロンでの交流、が行われている。

  自治体との違い:住民サービスではなく、会員企業向けサービス。しかし会員企業は地域密着が多く、エコ活動もその一環として「

  業を通した地域の住民向けのサービス」としてエコピープル・エコユニット(企業)が実施するよう企画されている。

回答要約:

 エコ検定合格者同士がつながって自主的に活動を作ってもらえるようにエコピープルという名を冠して1)月一回の皆さんの活動を取

材したサイト情報提供と、2)活動を表彰して皆さんの活動意欲を更新するために年一回のエコアワードを開催3)交流の場としてサ

ロンを設けている(新型コロナウイルスのため活動を停止中)それ以外の活動はしていない。エコ検定は環境問題の基礎的な知識を確

認するもので、その後の専門的な知識の修得やエコ活動は自主性的に任せている。

感想: 

 担当者は積極的に答えようとしてくれていた。但し、リーダーシップとかイニシアチブというより基礎とか基盤の提供であり、それ以

上は今のところ意識していない。2050年までに温室効果ガス排出をなくす、などの総理の発言やパリ協定の国際合意を反映して、

活動をアップグレードしようという意識は今のところ感じられないのは残念。⇒感想を伝えた後の回答で改善あり。

 追加回答:特に(1)会員の最近の活動・質問・需要の具体例、(2)エコ活動全般の最近のニーズ・トレンドについて把握している

事に基づいたサポート強化の方針などについて:

・(1)エコユニットやエコピープルの環境活動:https://www.kentei.org/eco/people/award/index.html

 まずeco検定アワード2020受賞者、近年の特徴は、・SDGsを意識した活動が展開されている・企業単体ではなく、さまざまなステ

ークホルダーを巻き込んだ活動が展開されている・企業(エコユニット)においては、本業と一体化した活動も多い、など。

・(2)エコユニットやエコピープルからの興味深い問合せ、ニーズを踏まえた事務局としての活動方針:

・エコユニットやエコピープルの環境活動に関する情報発信の強化(身近に始められそうな 活動を知りたいなど)・エコピープルサロ

ンの活性化(もっと参加しやすくしてほしいなど)・eco検定そのものの認知度向上 →エコピープルやエコユニットの皆様に「役

立つ」、「参加したい」と思っていただけるように事業の改善していきたい。

 

 

・自治体と生活者との連携について:自治体のエコ活動

 取材先:練馬区豊玉リサイクルセンター

はじめに:

  住民への環境問題の啓蒙活動、小中学生への環境教育やごみ処理場の見学会、ボランティアを募り教育を施しエコ活動に参画してもらう等、

の自治体も似通った活動を展開している。

  問題は、住民や所在企業などがより的確で効果的な環境行動を選択する事。各自治体はここで苦心している。

  より優れた環境技術、より良い環境施策、それらに合わせた住民・企業のより良い環境行動選択が、社会、経済、文化、と調和的に行

われるよう進めるには、見えない事が多い。

  そのため自治体は、住民が無関心から関心を持ち、具体的な行動を起こしてもらうにはどうしたらよいか?を中心に据え、

     試行錯誤しながら活動を行っている様子が窺える。

回答要約: 活動の「優先順位」、「住民の活動参画惹起」等について:

・通常期は、年間140以上の講座等のプログラムを実施しているので、概ね重要な課題は漏れなく扱っている。ボランティアと協働で、

その年の重要課題、その時期の重要課題などと考えながら課題を選び、結果として上記のような開催数になっている。

・優先順位はもう一つの質問「生活者の自主的・積極的な行動参加」と背中合わせの関係にある。プログラムには「出口」、生活者が考

える(課題は分かったけど)どうすればいいの?」への答えを用意するように注意している。講座から帰宅し、新しい習慣を継続し

ていただけるのが理想と考え、プログラムを企画している。逆に、環境的には重要でも、生活者に何かしらの出口を提示できないプロ

グラムは、地域に根差した私どもの様な施設が扱うべき課題ではないと考えている。

・「現状認識」は、生活者の意識のステージで捉えることも多い。

・<無知・無関心><認知・理解><共感><実践><周りへの波及>:例えば5~6年前の海プラごみ問題は、多くの生活者にとっては

<無知・無関心>の段階。この当時は、まずは<認知・理解><共感>へ引き上げることを課題としてプログラムを企画した。現在は、

多くの生活者が<共感><実践>のステージにあるので、より幅広い<実践>のノウハウを発信している。

・登録ボランティアと協業で、以上の様な普及啓発を行うことがセンターの役割だと考えている。合わせてボランティアの育成や環境系

団体様の活動支援等も行っている。

・「効果の測定・評価方法」については、絶対評価を行うとすれば「態度変容率」やそれによる「環境負荷の低減値」となるが、技術的

にもコスト的にも測定が困難。講座参加者のアンケート集計を管理指標の一つとして傾向を見ている。講座は、せいぜい15名程度との

コミュニケーションになる為、グループインタビュー的に定性情報を得るのに適している。実際に講座で仮説を得て、新しい企画へ反

映するケースは多々、生じている。

 一例:<圧力なべの省エネクッキング講座を開催>省エネクッキング以前に圧力なべが使えない層が多く存在すると仮説>圧力なべの

使い方も含めた省エネクッキング講座開催>

・リサイクルセンターのボランティアとエコアドバイザーは活動の拠点の違いで、概ね同じ役割と考えている。

感想:

 今まで取材した中で最も生活者に近い発想の回答が得られたと感じた。また成果の分析や反映については今後DX等の中で考慮してい

く必があると感じた。

全体の感想:

 生活者個人の周りには自治体・企業や市民によるコミュニティがある。特に以前は公害問題等の企業vs市民の構図があった。しかし

SDGs下では企業もコミュニティを作り、その資金力を活かして大学や有識者と連携し市民との協働を指向している。多様な協力者との

連携、DXを活かした身近で有効な活動の選択、などを意識して今後の活動に活かしたい。

追加取材:地方創生カレッジ事務局への取材:  

取材視点:生活者中心の、グローカル連携でのエコ活動の進め方   

要約:隣接自治体同士、非常に似たような活性化プラン・イベントを実施し非常に連携効率が悪い。外から見ないとお互いのダブり・漏れ

(サイロ化問題)に気づかないし、効率的で効果的な連携協力という発展性のある地方創生ができない。会津ではデータ連携によって、

どこで何をやっているのか概観・分析できるシステムを導入し、よい方向へ変化が起きた。さらに、地域の上位にあるレイヤー(例えば

区の上位にある都や国など)が参加する事で全体最適の活動がやりやすくなった。(会津地方の創成プランの主要参加者が2010~現在

にいたるプラン実施の中で経験)各自治体の競合相殺効果からの脱却と分担相乗効果の湧出が実践された。

感想:外部から有力な学識者やアドバイザーを呼んでキックオフを行っても、彼らが去ってしまえば住民は冷えてしまう。住民が自ら火を

けて、火を絶やさぬようにするための進め方を学び身に着ける事が非常に大切。

まとめ:

・4つの組織を、生活者から離れたところから徐々に近づいて行き、最後は生活者自身がどう活動するかについて、取材してまとめた。

競合相殺と連携相乗の話は個人間、組織間、自治体間にもあり、調整するノウハウとして見える化と全体最適、上位レイヤーの活用

地域エコ活動にも有効なのではと感じた。

・共通するのは、全ての組織がSDGsを意識し、経済と環境と社会という競合・矛盾する部分のあるテーマを調和させ「持続可能な社会」

構築に繋がる行動を企画していた点。

 

取材を受けて下さった各組織のご担当のみなさま、本当に熱心に、足りない部分を補おうと何度も質問にお答えいただき本当にありがと

うございました!!